光の街とわたし

フランス・リヨンでの留学生活

黄色いベスト運動1周年を迎えたことによるデモの過激化:フランスで実際にデモを目撃した感想

Bonjour! みなさん、こんにちは。さきです。

2019年11月17日、フランスで長期間にわたり発生している黄色いベスト運動が1周年を迎えました。長期間にわたり続いているこのデモも最近では収束傾向にありましたが、スタートから1年を迎えたということで、この16日と17日に多くの都市で大規模なデモが発生し、一部は暴徒化しました。

わたしが住む街リヨンでも黄色いベスト運動が以前からFacebookなどで呼びかけられ、街中での運動へと発展していました。

わたしは大学で国際関係を学んでいることもあり、この黄色いベスト運動がどのようなものか自分の目でみてみたいと思い、デモの様子を少しだけですが見に行ってきました。今日はその様子とデモを目撃しての感想をお話ししたいと思います。

では、On y va!

 

黄色いベスト運動とは

まず黄色いベスト運動とはなんなのかについて。

黄色いベスト運動とは2018年の11月17日に始まった運動で、フランス語ではGilets jaunes (黄色いベストという意味)と呼ばれています。労働者の象徴である黄色いベストをみにつけ、デモを行うためこの名前がつきました。発端はマクロン政権による燃料税の値上げでした。また、マクロン政権の富裕層が得をしているとされる政策に中間層の不満が高まり、黄色いベスト運動はマクロン政権の反対、退陣をも求める運動へと発展しました。

日本で報道される黄色いベスト運動のイメージとしては、パリのシャンゼリゼ通りで抗議をし、一部暴徒化したデモ隊が治安部隊と衝突するというものだと思いますが、実際の黄色いベスト運動はこれだけではなく、パリだけでなくフランス全土に広がっています。その理由としてはフランスの田舎では車がないと生活が困難になることから、燃料税の値上げは生活費に直結し、生活がより苦しくなるためです。抗議の方法もデモだけでなく、高速道路の入り口に立ち、封鎖するという行動も起こしています。

デモは毎週土曜日に行われており、暴徒化したことで、世界中に報道され、この黄色いベスト運動は現在のフランスの状況として世界に発信されました。長期化し、より激しくなったこの運動により、マクロン政権は燃料税の値上げを断念しましたが、現在でもその他のマクロン政権の政策に反発する人々によってデモは続いています。

 

11月16日、リヨンで発生した黄色いベスト運動

11月17日の日曜日に、黄色いベスト運動がスタートしてから1年になることから、16日と17日にフランス全土でデモが発生しました。デモは最近収束傾向にあったのですが、1年ということもあり、インターネット上で多くの呼びかけがあり、この週末のデモは大規模なものとなりました。

わたしが住む都市であるリヨンでも以前からFacebookなどで呼びかけが行われており、実際に16日、Bellecourというリヨンの繁華街周辺でデモが行われました。

わたしは以前からこの運動に興味があり、実際に自分の目でみてみようと思い、少しだけですが足を運んでみました。

わたしが見たデモ隊の様子はこちらです

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リヨンで2019年11月16日に発生したデモ

 まず。Bellecour広場というリヨンの中心部にある広場に集まり、そこから周辺の道路への行進がスタート。周辺の道路は治安部隊や警察により封鎖されているところが多かったのですが、一部の封鎖されていない道路へとデモ隊は進みました。初めの方はただ行進して、声をあげたりしているだけだったのですが、徐々にその掛け声が激しくなり、先頭の方でこの運動の定番でもある黄色い発煙筒が焚かれるとより激しくなりました。一部で爆竹のような音が聞こえ始めたため、治安部隊が出動していました。

これより激しくなると流石に怖いなと思ったので、野次馬はここで退散しておきましたが、思ったよりも普通の街中で、周辺に買い物しに歩いている一般人も多くいる中でのデモでした。

 

実際に黄色いベスト運動を見た感想

今までテレビの中で報道されていた光景が目の前にあり、やはり衝撃でした。デモ隊が放った黄色い発煙筒とそこへ駆け出す治安部隊の光景ははっきりと頭の中に残っています。少しの不安はありましたが、大きな恐怖はなく、意外と落ち着いていた自分に今は驚いています。

実際に見てみて、日本で報道される黄色いベスト運動とフランスの人々のこの運動への反応はかなりギャップがあるなと感じました。というのもこの運動に参加していないフランス人は普段の土曜日の買い物を楽しんでいましたし、わたしが想像しているよりも集まっている人の数が少なかったからです。もっと国家総動員的な運動をイメージしていたので、フランスに来てからですが報道とギャップを感じていました。

燃料税の値上げは廃止になったということもあり、たとえ1年の記念日であったとしても収束傾向であるのには変わらないのかと思います。また、暴徒化しているのは政権に反対しているというよりもただ単に騒ぎたいだけの人々もいるようで、海外では黄色いベスト運動はグローバリゼーションへの反発ととられた報道の仕方がされたりしましたが、実際は少し違うようです。今回は、1年ということで各地でデモが発生しましたが、これからはより収束傾向に傾くのではないかと思います。

ただ、今回のようなデモを実際に自分の目でみたのは初めての経験だったので、興味深かったです。

 

政府に不満があることを訴えるために、デモをして声を上げることはとても良いことに感じます。フランス人は特にそのような行動にでますよね。自由を大切にしている国ということもあり、日本よりデモに対していいイメージのある国なのかなと思います、ただ暴徒化はほんとうに勘弁してほしいので、平和的なデモであってほしいです。